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『詩季織々』×『秒速5センチメートル』同時上映イベント開催!

8月18日(土)にテアトル新宿で、『詩季織々』×『秒速5センチメートル』同時上映イベントが開催されました。
 
2作品の上映後には『詩季織々』の総監督であるリ・ハオリン監督と、制作会社コミックス・ウェーブ・フィルム(以下:CWF)の代表である川口典孝氏によるトークショーイベントが行われました。
 
10年近く前に『秒速5センチメートル』を観て衝撃を受けたリ・ハオリン監督が、CWFに熱烈なオファーを送り続けたことにより実現した『詩季織々』のプロジェクト。『詩季織々』と『秒速5センチメートル』が同時上映されたことを受けて、リ監督は「『秒速』を観た時の感動は今でもずっと残っていて、それが『詩季織々』を作る原動力になりました。この作品で、同じような感動を皆さんに伝えられたらと思っています」と改めて、今回、『詩季織々』を制作するきっかけとなった『秒速5センチメートル』への思いを語りました。
 
トークショーでは、リ監督と川口氏の出会いなどから、『詩季織々』の制作に至る過程などが和気藹々とした雰囲気で語られていきました。そして、公式Twitterで募集した質問の中から5問の質問に答えて頂きましたので、ご紹介します!
 
<質問コーナー>
※質問の答えには一部、ネタバレが含まれています。
 
【1】日中合同制作作品と言うスタイルで制作された『詩季織々』ですが、CWF制作作品のみならず、今後も業界としては、このように国境を越えて作品を合同で作っていこうという機運が高まりそうな傾向はありますか?
 
川口:今はチャイナマネーが大きいので、その様に思っている人たちも多いと思います。ただ、日本のアニメスタジオは制作本数が多くてスケジュールが埋まってしまっており、なかなか応えられない現状があるので、もう少し時間がかかると思います。
 
【2】作品制作で一番大切にしていることはなんですか?
 
リ監督:制作で一番大事なものは、心だと思います。
川口:愛だろ(笑)。ここは一緒だったね。
 
【3】2つの国が一緒に作るにあたり文化や思想、言語の違いなどで苦労したところはありますか?
 
川口:面白かったのが、ビーフン屋のシーンでお客さんたちが“普通”に食べているという場面。我々は“普通”に食べるというと足を下ろして座っているけれど、「違う、違う」と言われて。こうやって食うんだと(椅子に片足あぐらで座る)。その様に食べるのが中国の風景として“普通”らしい。そういう“普通”の認識が違う事が衝撃だったし、面白かった。
リ監督:私が感じた大きな部分は2か所ありますね。1つは礼儀に対してで日本の皆さんは挨拶の時にお辞儀をしますが、中国だともっとフリーな感じで手を振ったりグータッチしたりします。あともう1つは「上海恋」のリモの家でみんなで丸いテーブルで食事をするシーン。絵コンテでは、その部屋が最初に出てきた時には四角い形のテーブルだったのに、後のシーンで丸いテーブルになっていたため、「ここ間違えているんじゃないですか?」と指摘されて。
川口:中国では普段四角いテーブルを使っているけれど、丸い板が部屋に置いてあって、たくさんお客さんが来る時は丸い板をテーブルの上において丸テーブルになるんだって。
リ監督:そこには、家族が戻ってきて円になるという意味があります。もう一度観る機会があれば、その様な背景なども注目してご覧ください。
 
【4】上海恋でリモが仕事で設計し模型も作ったホテル(上司に壊された…)は、もしかしてエンディングが流れる前の最後に石庫門でリモとパンが経営していたホテルと同じでしょうか??
 
リ監督:同じものという設定で、実際には3回出てきています。1回目は建築会社でリモが作ったモデルなんですけれど、2回目は高校の時にCDプレイヤーを聞いている時に描いている絵がそうです。そして、最後のシーンで再現されているという形となります。
 
【5】上海恋のラスト、あの人が現れたのは偶然でしょうか。 それともパンが気を利かせてこっそり連絡してあげたのでしょうか。
 
リ監督:実際は、もともと「上海恋」の最後で会った女性はヒロインかどうかをはっきり出していないので、少しオープンな感じのエンディングとなっています。
川口:ただ、エピローグの空港のシーンで出てくるんだよね。
リ監督:最後まで二人がすれ違ったままなのかな…と思ってもらって、最後のシーンで女性が出てきたときに「あっ、戻ってきたんだ」という2つの気持ちをお客さんに感じてほしいと思って。
川口:もともとバラバラの作品だったからね。でも総監督として1本位、ハッピーじゃないエンドにしようというのは無かったの?すれ違ってそのまま…みたいな。僕がよく知っている某監督の若かりし頃は…(笑)
リ監督:エピローグを見なければ、すれ違いと考えてもらっても良いです。ただ、ちゃんとハッピーエンドが欲しいのであれば、エンドロールの最後まで見ないといけないですね。